平成20年度地方財政運営に関する要望

公開日 2007年11月06日

 11月6日(火)に4つの要望を中核市サミット2007in横須賀で採択しました。翌日、関係省庁の幹部に面会し、地方税財源の充実および偏在の是正、 真の地方分権改革の実現に向けて中核市の都市機能や行政需要に相応しい権限の移譲、県費負担教職員の人事権の移譲、子どもを安心して生み育てられる環境づ くりの推進などを求めた要望書を提出しました。

 

 


地方分権、税制改革など、自治体運営に大きな影響を及ぼす事項について、地方分権改革推進委員会や経済財政諮問会議、政府税制調査会などにおいて、その方 向性が熱心に議論され、詰めの段階を迎えている。中核市が自己責任において自立した行財政運営を行うことのできる、真の地方分権を実現させるため、税財政 改革に関連する下記の事項について、積極的かつ適切な措置を講じられたい。

 

「平成20年度予算編成に向けて」
さる8月末に、概算要求時点における平成20年度地方財政収支の仮試算が示された。そのなかで、地方税は前年度比1.1兆円の増とされたが、地方交付税 は、出口ベースでは0.6兆円の減、臨時財政対策債を合わせると約1兆円の減となっている。

 

地方税収の伸びはあくまで国全体のものであって、地方自治体間においては税収の偏在という課題がある。この偏在の解消なくして、これ以上地方交付税の抑制が続けば、地方交付税の持つ財源保障機能を発揮するに至らず、市民サービスに影響を及ぼしかねない。そこで、平成20年度予算編成作業において、下記の点を着実に実施し進めることを要望する。

 

1.「地方税財源の充実および偏在是正について」
 これまで主張してきたとおり、当面、国、地方の税収比5対5を実現し、地方消費税等の充実、地方法人二税のあり方など、税制全般にわたる見直しを行い、偏在性の少ない、安定的な収入の見込める税体系の早期構築を図るとともに、我々が圏域の中核たる都市自治体としての役割を果たすため必要な行政需要に見合った税財政制度設計を行うこと。
 一方、いわゆる「ふるさと納税」制度については、教育などの行政サービスを受けた「ふるさと」に対する貢献を寄附税制により実現しようとする意義は理解するが、税収格差是正の抜本的解決策とはなりえないうえ、税負担の公平性の確保や、徴税コストが制度導入効果に見合うものか、などを懸念するものである。
 また、平成18年度税制改正における所得税から個人住民税への税源移譲にあたり、納税者の負担増を回避するため、個人住民税において「住宅借入金等特別 税額控除」及び「年度間の所得変動に応じた経過措置」の制度が設けられたが、後者の減収分について財源補てん措置が示されておらず、国費による財源措置を確実に行うこと。

 

2.「地方交付税について」
 地方交付税については、地方の固有財源であり、自治体全体で共有する財源であることを明確にするため、「地方共有税」の制度化に向け議論を進めること。また、地方自治体においては、自立した財政運営を目指し、歳入確保につながる施策の構築や、徹底した歳出削減などに鋭意努力しているところであるが、基礎的市民サービスの提供に必要な財源確保のため、地方交付税の財源保障、財源調整機能を強化し、総額の拡充を図ること。
 また、「頑張る地方応援プログラム」の算定については、地方の魅力創出を促すという制度の趣旨は理解できるが、各成果指標は地域の特殊性や、算定期間内における自治体の特殊事情などを公平に反映させることが難しく、標準的な行政サービスにかかる財政需要を担保すべき普通交付税ではなく、別の財源により措置するべきと考える。

 

「郵政民営化に伴う株式会社ゆうちょ銀行の公金取扱手数料について」
 郵政民営化に伴い郵便振替法が廃止され、同法に定められていた手数料はその根拠を失うこととなった。民営化後の株式会社ゆうちょ銀行は、銀行法に基づく 銀行である点で、公金収納に携わっている他の民間金融機関と何ら変わりはない。したがって、公金収納にかかる手数料については、他の収納代理金融機関と同 等の条件とするよう要望するとともに、現在持株会社に100%出資している国に対しても、この点について地方の立場に立った働きかけを期待するものであ る。

 

 

以上要望する。

 

平成19年11月6日
中核市市長会

  

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