持続可能な地方財政運営に関する要望

公開日 2008年11月12日

 三位一体改革を通じた地方一般財源総額の急激な圧縮により、地方財政は逼迫の度合いを増している。地方においては、国を上回る徹底した行財政改革 努力を行ってきているが、歳出削減もすでに限界にきており、このままでは財源不足が解消できず、基金の枯渇が現実味を帯びるほど厳しい状況となってきた。
 真の地方分権を実現させるためには、この状況を打開し、地方が自己責任において自立した行財政運営を行うことのできる財源保障が不可欠である。
 よって、国におかれては、以下の事項について早急かつ積極的な措置を講じられるよう、強く求めるものである。

 

「地方税財源の充実について」

1.    地方消費税の拡充
 今後も増加が見込まれる医療等の社会保障や、教育など住民密着の不可欠な行政サービスを安定的に維持していくため、偏在性が小さく、景気動向に左右されない、地方消費税の拡充を中心に、安定的な地方税体系を早急に構築すること。

      
2.    社会基盤整備財源の確保
 道路、河川など重要な社会基盤整備については、国・地方の役割分担を明確にし、地方の実情等を充分に踏まえ、引き続き着実に整備を推進する必要がある。
 中核市においても、災害時の重要なインフラとなる道路整備をはじめ、高次都市機能整備など、その需要は今後もきわめて高く、地方譲与税、臨時交付金、国庫補助金等により措置されてきた財源を、引き続き確実に措置すること。
      
3.    地方交付税総額の拡充
  8月に示された平成21年度地方財政収支の仮試算において、前年比0.6兆円減の14.8兆円とされている。  
 いかなる地域においても、基礎的市民サービスの提供に必要な財源を確保するため、地方交付税の財源保障、財源調整機能を強化し、総額の拡充を図ること。
 そのため社会保障費の増大などに伴う地方単独経費や、新たに地方財政措置を講ずる財政需要について適切に算定し、地方財政計画に計上すること。

 

「国と地方の役割について」

 地方分権改革推進委員会において、地方に移譲すべきとして検討されている国の所掌事務については、財源、人員等をあわせた移譲が実現するよう、政府の強いリーダーシップを求めるところである。
 一方で、地方の所掌事務のうち、広域的かつ統一的な処理が適当と考えられる事案についても、役割分担の観点から検討すべきと考える。
  例えば、国民健康保険や後期高齢者医療制度については、地方が保険者であるが、所得水準、年齢構成などの地域間格差により、給付の平等や負担の公平を確保 することが困難で、場合によっては財源不足を一般会計で補填しなければならず、地方財政が逼迫している一因ともなっている。
  しかし、国民の健康は平等に維持されるべきであり、企業における組合健保の解散事例なども考え合わせると、国または県を保険者とした、広域的かつ統一的な制度改革を検討する必要があると考える。

 

平成20年11月12日
中核市市長会会長 長崎市長 田上 富久

倉田雅年総務副大臣に要望書を渡す
倉田雅年総務副大臣に要望書を渡す
田上会長(長崎市長)、細江副会長(岐阜市長)、津村副会長(宮崎市長)
漆間巌内閣官房副長官に要望する
漆間巌内閣官房副長官に要望する
田上会長(長崎市長:右)、津村副会長(宮崎市長:左)
山本信太郎内閣府事務次官に要望する 
山本信太郎内閣府事務次官に要望する
田上会長(長崎市長:手前右)、津村副会長(宮崎市長:手前左)

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