地域医療確保に関する要望を政府関係機関に提出しました

公開日 2008年11月12日

 中核市は、その多くが所属する保健医療圏において地域医療の中心的役割を担っており、地域医療の確保に積極的に取り組んでいる。
  近年、地域医療の崩壊が社会的問題となっており、医学部定員の抑制に伴う医師絶対数の不足、新臨床研修制度の実施に伴う研修医の大都市・大病院志向や医療 リスクの少ない診療科志向などによる医師の偏在は、地域医療に大きな影響を与えており、産婦人科、小児科、救命救急などにおける診療廃止や診療制限を招 き、そのことが結果として病院経営の悪化につながる深刻な状況となっている。


 また、市町村合併による市域の拡大に伴う不採算地区 病院に関する財政措置や中山間地における医療の確保、療養病床再編に伴う老人医療への不安、社会保険病院等の独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構 への移管に伴う病院機能維持に対する不安など新たな課題も発生してきている。
  国においては、「安心と希望の医療確保ビジョン」や「経済財政改革の基本方針2008」において、医師数抑制というこれまでの姿勢を正式に改めたが、地域医療の確保のため、医師確保対策をはじめとした下記事項の実施を強く要望する。

 

1 医師の確保について

(1)    医師絶対数の確保
  本年9月の「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会中間とりまとめでは、「日本の人口10万人当りの医師数は、OECD加盟30か国中26 位と低く、OECDの平均医師数は日本の約1.5倍であることから、将来的には50%程度医師養成数を増加させることを目指すべきである。」とされてい る。これを踏まえ、医療の質を高めるため、速やかに医学部定員の大幅増などに努めること。

(2)    医師偏在への対応
 地域ごと、診療科ごとの医師の偏在を解消するため、地域の状況を調査し、医療圏域を越えた需給システムや医師派遣体制の構築に特段の措置を講じること。
  また、医師不足が顕著な診療科の医師養成について計画的な施策を実施すること。

(3)    勤務医の処遇改善
  過酷な勤務を余儀なくされる救命救急、小児、周産期医療並びに多大な精神的負担を強いられるへき地医療などに携わる医師の給与や処遇の改善について、実効ある施策や財政的支援を講じること。

(4)    軽症患者の時間外受診の抑制
  軽症患者の時間外受診、いわゆる「コンビニ受診」が医療現場において大きな負担となっていることから、「かかりつけ医」の普及など「コンビニ受診」抑制のための啓発活動に努めること。
 
(5)    医療リスクへの対応
  救命救急、小児科、産婦人科など医療リスクの高い診療科において、医師が萎縮することなく医療が行える環境を整備するため「産科医療補償制度」の円滑な運用に努めるとともに、他の診療科についても安全管理、リスク管理対策を検討すること。

 

2 看護師、助産師等医療スタッフの確保について

  看護師、助産師等医療スタッフの養成、確保を図るため養成機関の充実や勤務条件の改善、出産・育児に伴う離職防止や復職支援について適切な措置を講ずるとともに財政的支援を充実すること。
  また、経済連携協定に基づく外国人看護師の受入れについては、医療現場の声を反映し、状況に応じた柔軟な対応を図ること。

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