地方分権推進委員会の第1次勧告と今後の期待

公開日 1997年04月01日

地方分権の推進は、地方公共団体が憲法に基づく地方自治の本旨を確立し、地域住民の福祉の増進を図るために長年にわたり希求してきたところであり、中核市にとりま しても最も大きな行政課題であります。

 

このようななかで、地方分権推進委員会が昨 年12月に内閣総理大臣に提出されました第1次勧告は、戦後の中央集権型行政シス テムの象徴とされた機関委任事務制度と国の広範かつ不透明な関与等を容認する制度 を廃止し、又は抜本的に改革しようとするなど、地方分権のための道筋を明確にする ものであり、私共の目指す分権型社会の実現に向けての大きな一歩として高く評価さ れるものであります。

 

特に、従来の機関委任事務を法定受託事務(仮称)とするものを除き原則として自治 事務(仮称)とすることや、国からの地方公共団体に対する関与の原則と類型が示さ れるとともに、個々の事務についても中核市連絡会としても意見を申し上げた「教育 長の任命承認制を廃止する」などの国等の関与を緩和することが盛り込まれており、 地方公共団体が担っている事務を当該地方公共団体の主体的かつ自己責任の下で処理 することが可能となり、その意義は、誠に大きいものがあります。

 

今後とも、地方分権推進委員会において「国庫補助負 担金・税財源」、「必置規制」 など残された多くの課題について、大所高所からの積極的な議論が重ねられていくこ とと思いますが、地方分権の推進を実効あるものにしていくためには、住民に最も身近な基礎的自治体である市町村が地域の総合的な行政を担うといった市町村 優先の観 点に立ち、市町村への分権化に力点を置いた議論がなされることを期待いたしております。

 

特に中核市制度は、地方分権の具体的方策として、社会的実施として規模能力が比較的大きな都市の事務権限を強化し、できる限り住民の身辺で行政を行うことにより地 域行政の充実に資することを目的として設けられたものであり、現実に各市が、県か ら移譲された民生行政、保健・衛生行政、都市建設行政などに係る事務を円滑に処理 していることなどの実態を考慮いただき、中核市に対する先導的な権限移譲など、行 財政の規模、行政の執行能力等の実態を考慮した分権化についても議論の対象にされ ることを強く望むものであります。

 

併せて、今後の指針勧告に当たっては、中核市制度という分権の試金石をも踏まえつ つ、これに係る都市づくりに足る財源の確保はもちろんのこと、これを機に税財政の 面からの分権の推進方策が具体的かつ大胆果敢に示されることを大いに期待しており ます。