地方税

公開日 1997年04月01日

地方税の充実に向けた税体系の確立

現在、国と地方の租税配分が2:1であるのに対し、実質的な配分では、1:2に逆転しています。このため、地方公共団体の自主・自立的な事務事業の執行を困難とさせているばかりでなく、行政サービスの受益と財源負担の関係を曖昧なものとし、住民の地方行政への参加意識を希薄化させる遠因ともなっています。
分権型社会においては、基礎的自治体である市町村は、自主財源である地方税により運営されることを基本としなければなりませんが、そのためにも行政サービスの享受と財源負担がより住民に身近なところで議論され、決定されるべきであります。
そこで、国からの地方公共団体への税源移譲を行い、国と地方間の租税配分と実質配分とのかい離を縮少し、地方公共団体の自主財源としての地方税の充実に向けた税体系の確立を図るべきであります。

 

中核市の役割に見合った税源配分と都市税源の充実

中核市においては、基礎的自治体として住民に最も身近なところで、できるだけ多くの事務を総合的に実施するため、事務配分の特例による総合行政の担い手としての役割とともに、人口の集中あるいは、産業経済の集積による都市交通、市街地再開発などの都市基盤の整備、都市防災対策、更には、地域の発展に貢献する広域行政の推進など、中核市特有の多くの役割を担っており、これらに対する多くの財政需要が生じています。
しかしながら、これらの財政需要に対する財源は、中核市の事務配分の特例に伴う地方交付税上の措置を除き、中核市も一般市町村も差異のない画一的なものになっており、中核市の役割に見合ったものとなっていません。
そこで、地方税財政の見直しに当たっては、所得・消費・資産課税のバランスのとれた市町村税体系の確立を目指すとともに、中核市については、法人所得課税、消費課税などの都市税源の充実を図るようにすべきであります。まず、法人所得課税にあっては、国・地方間の税源の再配分による法人所得課税の充実を図るよう、見直しが必要であります。更に、消費課税にあっては、中核市が地域商圏の中核として流通消費活動が活発に行われていることを考慮すると、国税からの税源移譲による消費課税の充実を図るよう消費課税の見直しを行うべきであり、地方消費税交付金についても、中核市への配分強化について検討されるべきであります。

 

課税自主権の見直し

現在、地方公共団体が法定外普通税を課す場合には、自治大臣の許可が必要とされていますが、今後、地方分権を推進し、地方公共団体の財政基盤を強化するためには、このような許可制度を含めた課税自主権の在り方について検討されるべきであります。