はじめに

公開日 1997年08月01日

地方分権推進委員会におかれては、地方分権の推進に精力的にお取り組みいただいているところであり心から敬意を表する次第であります。

さて、本年7月に地方分権推進委員会から出され ました第2次勧告において、国と地方の税源配分のあり方につして具体的に明記されず不十分さが残るものの、国庫補助負担金の整理合理化、存続する国庫補助 負担金に係る運用・改革のほか、法定外普通税や地方債の許可制の廃止、地方交付税総額の安定確保等、地方税財源の充実確保による地方自治体の自主・自立性 を高める方向が示された意義は、誠に大きいものがあります。

また、都道府県と市町村の対等・協力関 係を前提とし、基礎的自治体である市町村への事務移譲、一定規模・組織体制等を有する市町村への事務移譲といったことが明確化されましたことは、我々中核 市がこれまで強く要望してきたところであり高く評価いたしておりますし、併せて中核市の権限の一層の拡充について述べておられますことは大変心強く、今後 の勧告に大いなる期待を寄せているところであります。

さて、私共中核市17市におきまして は、これまで府県から移譲された市民に身近な民政行政、保健衛生行政など数百項目に及ぶ事務を円滑に処理しております。その移行の効果としまして市民サー ビスの向上は勿論でありますが、それ以上の大きな成果としては中核市が今後の地方分権の受け皿として十分対応できるという各都市の自信ではないかと認識し ております。

しかし一方では、独自の都市行政運営ができるだけの権限移譲が十分ではなく、単に府県から市への事務手続きの変化と捉えられるため、多くの市民の期待を集めたわりには中核市移行のメリットがよく見えないといわれていることも否めない事実であります。

また、今日の都市行政においては社会経 済情勢の急激な変化による行政需要の増大に対応するため、地域の実情に応じた主体的な都市づくりが求められており、とりわけ市民に最も身近な基礎的自治体 である市町村が地域の総合的な行政を担っていかなければならないと強く認識しております。

このようなことを考え併せますとき、十 分な行政能力を持つ中核市が地方分権の先導的役割を果たすとともに、周辺市町村をリードする中核都市として地域の発展に貢献できるよう、中核市制度の充実 を図るべく幅広い事務・権限の移譲と、併せてその税財源の確保についても十分に配慮して頂くことを強く願うものであります。

私共も、住民ニーズに的確かつ弾力的に応えることができる簡素で効率的な行政体制の整備・確立に向けて、引き続き積極的に取り組んでまいる所存であります。

この意見書は、今後地方分権推進委員会 において都道府県と市町村との権限移譲についての協議がなされるに当たり、中核市が都市行政を進める上で必要となる事務・権限をまとめたものであります。 今後の指針勧告にあたっては、中核市の意見が十分に反映されることを大いに期待いたしております。

 

 

平成8年11月『17中核市市長』